characteristic of aba
ABA(応用行動分析学)について
ABAってなに?他の療育方法とどう違うの?どんな成果が望めるの?
ABA(Applied Behavior Analysis:応用行動分析)は、人の行動を個人内の問題とせず環境との相互作用の結果として捉えることで、新しい行動の獲得や問題行動の解決などに応用していく理論と実践の体系です。1930年代にスキナー(B.F.Skinner)によって行動分析学が生み出され、現代ではその応用(行動分析)として教育や医療、スポーツ、経営など様々な分野で大きな効果を上げています。それぞれ目標は違いますが同じ原理を応用してより望ましい方向へ導くような、いわば車のエンジンのようなものです。
発達障害の分野では、アメリカのロヴァース博士の研究(O.I.Lovaas, 1987, Behavioral Treatment and Normal Educational and Intellectual Functioning in Young Autistic Children)が現代ABAの源流です。週40時間の訓練を行った自閉症児20人中9人が普通学校へ進学し、ほぼ全員が今も一般社会の中で生活しています。それまで施設での生活を余儀なくされていた自閉症者の世界を大きく変えることになった実践的かつ歴史的な研究で、その後のフォローアップ研究でもその効果が確認されています。
ABAは様々な分野で効果を上げています。
ABAの日本での始まりは『つみきの会』
マママでは、日本初で初めてABAを親への訓練を目的に導入した『つみきの会』と提携を行い、会の研修を受けたスタッフが指導を行います。同会主催の定例会等にも積極的に参加し、ABAに関する知識と技術向上に努めています。
→ NPO法人「つみきの会」H.Pへ
ここでは問題行動への対処を例にご紹介します。
先ずは子どものその行動を引き起こす原因が以下の4つのどれに当たるかを見分けます。必ずどれかに、あるいは複数の原因に該当します。
1.要求・活動の実現
「○○がほしい/したい!」
2.回避
「☓☓したくない/されたくない!」
3.注目されたい
「こっちを見て!」「かまって!」
4.感覚刺激
「なんだか楽しい/気がまぎれる!」
子どもの行動の原因を見つけ、それに合わせて対応していきます。その際に使われるのが「ABC分析」です。
Antecedent=行動前の状況, Behavior=行動, Consequence=行動の結果
の頭文字から取られています。つまり、「Aのとき(場所や人、環境など)、Bをしたら、Cになった」という形です。常にこの図式に当てはめて考えます。例えば、下の図例では、A:おもちゃ売り場を子供と通り過ぎようとしたら、B:かんしゃくをおこした。C:(子供は)おもちゃを買ってもらった。そして、子供はこの結果をもとにかんしゃくを起こしたらおもちゃが手にできたという結果を学習し、かんしゃくを繰り返すようになります。やがてかんしゃくで要求を叶えようとし、問題行動となります。
「叱りなし褒めて育てる」のがABAです。そのためには育てる側(周りの人)にも技術が必要となります。以下に代表的な方法を紹介します。
1.強化
ある行動の直後に、その子にとって良いことがあったり、嫌なことがなくなったり状況が変化します・・・つまり結果によってその行動が増えていくのです。増えていくことを「強化」されたといいます。ABAは良い行動を強化するのですが、よくあるのは、悪い行動が周りからの叱りで「強化」されているというケースです。
子どもが望ましい行動をしたときにたくさん褒めたりご褒美をあげたりしてそれを「強化」してあげましょう。下の図例(おもちゃ売り場)では最後の、かんしゃくを起こさずに通りすぎた(望ましい行動)時、が強化のタイミングです。
2.弱化と消去
反対に、問題行動を起こしたときは、それまであげていたご褒美を取り上げる「ペナルティ」等でその行動を減らしていきます(弱化)。「消去」はある行動の後で変化が無いとその行動は減るという原理を言います。方法は注目や声掛けをせず「無視」をします。ただ「無視」は「しかと」ではありません。子どもに気を配りながらも注目したり声掛けをせずにやり過ごすのです。下の図では2番目です。引きずりながらでも(少し乱暴ですが)淡々とその場を通りすぎます。「無視」とは無かったことにするということ、記憶にも留めないことですね。
3.DRO:他行動分化強化
問題行動以外の望ましい行動などを「強化」することで増やしていきます。これにより、相対的に問題行動が起きている時間帯を減らすことができます。「無視」等と併せて使うことで大きな効果を生みます。ABA支援の肝のような対処法です。下のケースでは、2番目の「無視」と三番目の「強化」の組合せによる「消去」となります。
4.先行条件操作
問題行動が起こりにくくなるように、予め物理的、時間的な環境を調整しておきます。特定のものがパニックや癇癪を引き起こすのなら、それが目
につかないように取り除いたり隠したりしておきます。下のケースでは、(A)のおもちゃ売り場を通らないようにすることです。
A(Antecedent):行動前の状況 B(Behavior):行動 C(Consequence):行動の結果
問題行動
無視
望ましい行動を強化!→ 消去
☆早期療育の重要性
ロヴァース博士らの研究により、療育を始めるのが2・3歳~と4・5歳~では、2・3歳~の方が効果が高いということがわかっています。もちろん、その年齢を過ぎてしまったからといってABA療育の効果がなくなるわけではありません。しかし、幼い子どもにとっての数ヶ月はとても長い期間です。療育を始めるのに「遅すぎる」ということもそうですが「早すぎる」ということも全くありません。むしろ早いほど良いと言えます。
Aくん 4歳3ヶ月(来所時3歳4ヶ月)
[診断] 自閉症スペクトラム障害(中度)
[通所頻度] 週1回<公費>
Bくん 5歳9ヶ月(来所時4歳10ヶ月)
[診断] 自閉症スペクトラム障害(重度)
[通所頻度] 週3回<自費・つみきの会会員>
Cくん 5歳11ヶ月(来所時5歳4ヶ月)
[診断] 自閉症スペクトラム障害、ADHD(中度)
[通所頻度] 週3~5回<公費>
Dくん 6歳6ヶ月(来所時5歳7ヶ月)
[診断] 自閉症スペクトラム障害(重度)
[通所頻度] 週4~5回<公費・つみきの会会員・終了>
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